文字に星は宿る「フォント」と「タイポグラフィー」

なんのフォントにする?
どこに配置する?
バランスはどうする?
どのくらいの大きさにする?
レイアウトはどうする?
あとグリッドデザインは・・・

全て含めたことが「タイポグラフィー」
色彩と一緒の考え方で相手にどういうことを伝えたいかを伝えるためのツールです。

ざっくりいうと文字の配置やバランスを改善し、相手により文章を伝えやすくするための設計の技術のこと。

最初、私はタイポグラフィはフォントのかっこいい言い方ぐらいに思っていました。
スパッツをレギンスというみたいな。(ちゃんというとスパッツはインナー、レギンスはアウター)

タイポグラフィはフォント(活字)をどう設計するのか、その技術のことを指します。

まずはフォントについて知っていきましょう!

フォント(活字)の基本

字体の違い

  • 旧字体
  • 新字体

文字の形のとり方の違い。
第二次世界大戦以前に使われていた旧字体とそれ以降、現在まで使われてる新字体。(特徴として従来よりも簡易字体になっている)

書体の違い

共通のコンセントをもった文字のグループのこと。

  • ゴシック体
  • 明朝体
  • 游明朝
  • ヒラギノ角ゴシック
  • 黎ミン
  • 新丸ゴ

など。

フォントとは?

あるデザインで統一された一つのサイズの活字一揃い。

デジタル書体の場合、カーニング(文字を指定して文字間のスペースの調整)を含めてフォントと呼ぶ。

昔は活字をうつとき、活版印刷のとき文字を組んでいたが、今はデジタルが主なので文字と文字の間をどんな感じで開けるか(カーニング)までを含めたものを指します。

文字によってどのくらいの距離を開けるのが美しく見えるかが違うため。

ちなみに本の大量生産を可能にした活版印刷は文化史上、画期的な発明で「羅針盤」「火薬」と共にルネサンスの三大発明の一つである。

活版印刷にまつわる物語

「銀河鉄道の夜」宮沢賢治

放課後、活版所でアルバイトをしていたジョバンニ。
何べんも眼を拭いながら「粟粒くらいの活字」を拾うジョバンニ。指定された文字の書かれた紙切れと照らし合わせながらピンセットで拾っていく様はとてもリアル。

フォントの本の例文で「銀河鉄道の夜」がよく出てくるのは主人公のジョバンニが活版所で働いていたからなのねと合点しました。

「馬敗れて草原あり」寺山修司

植字工のアルバイトの少年が活字ケースから一つ、テンポイントの「馬」の活字を抜き取った。
「テンポイント」という活字の名をつけられた悲劇の名馬に込められた願いとは。

詩人で劇作家の寺山修司は競馬を愛し、その競馬エッセイは多くの競馬ファンに愛されていました。テンポイントが勝った1977年に有馬記念に寄せてこの作品を残しています。

今流行のウマ娘にも「テンポイント」は出ているようですね。

フォントファミリー

同じフォントで
細さ、太さ違いの同じ目的で作られたものを
フォントファミリーと呼ぶ。

例えば新聞のひとつの紙面で見出しと本文でアクセントとしてフォントを別のものを使いたいと考えたとき、別々のフォントをもってくると印象がバラバラになり見にくい。
そこをフォントファミリーで揃えればきれいにまとまり見栄えがよくなります。

フォントはどのように作られてきた?

フォント1種類でその文字数は数千から一万字を超えるものもあります。
1年でリリースされるものもあれば10年かかるものもある。
いずれもひとりで制作するのは物理的に無理で分業で作られている。

クセがないのが特徴の「黎ミン」は約20年かかって開発されたそうです。

フォントは時代の変化によって作られていきました。
何かを元に進化して作られたり、2つの要素を合わせて作られています。

「秀英明朝」の歴史は長く、明治にできて、始めは大体自社のみで使っていたフォントでした。
それを2005年に大改修し7年かけて現代に向けてリニューアル。100年以上に渡り使われ続けています。

参考:100年目の書体づくり

そのフォントのことを知らなくても見た目から選ぶことはできるけど、フォントのできた背景を知っているとフォントを選ぶときのヒントになる。
そしてフォントも色彩と同じように機能的効果と情緒的効果があります。

機能的効果

  • ゴシック体・・・遠くから見たときパッと目に飛び込んできて見つけやすい。
  • 明朝体・・・長い文章を読む際、読みやすい。文字にリズムがある。

情緒的効果

ゴシック体力強さ、骨太、風格
明朝体やわらか、あたたかみ、古風
新丸ゴスマート、洗練、整然
行書繊細、美しい、上品

筆の名残や写植特有の墨だまりからは古風な印象を感じられたりフォントによって受ける印象は変わります。

タイポグラフィもデザインの一要素なので目的に合わせて選ばないとおさまりが悪くなります。

そして雰囲気にマッチしたものが選べたらそのデザインはより良くなります。

 

次は1つ1つのフォントのできた背景をみていきます。
背景を知ることで実際どういうふうに選んでいくか、考えていくかの足掛かりになります。

和文書体

明朝体とゴシック体

大きくジャンル分けをすると3種類に分かれます。

レトロ系写植時代の名残を感じる墨だまりがぷっくりあり格式があるけど温かさがある。

AI明朝
秀英角ゴシック

ベーシック系ニュートラルで使い勝手よくスタンダード。リュウミン
ゴシックMB
アップデート系モダンで現代的。黎ミン
新丸ゴ

「君の名は。」
AI明朝

「言の葉の庭」
リュウミンRをベースに加工。

「ちはやふる」

「ち」のみフォントを変えてインパクトを与えてる。柔らかさと丸みがありつつも上品に仕上がっている。

「ち」=秀英3号
「はやふる」=築地-Mをベースにしたオリジナルフォント

「図書館戦争」
A-OTF新ゴ Pro U

「聖☆おにいさん」
ゴシックMB101

筆記体/デザイン書体など

毛筆でかかれたようなフォント

  • 楷書体
  • 宋朝体
  • 勘亭流

など。

デザイン書体

目的に合わせて使う。
個性が強いので主にロゴやキャッチコピーに使われる。

欧文書体

古くは2世紀頃の碑文(石に文字をかいていた頃より)から歴史がある欧文書体。

大きく分けて2つあります。

  • ローマン体(セリフ体)
  • サンセリフ体

大きな違いはセリフ(飾り)の有無です。
セリフがあるものをローマン体(セリフ体)、
ないものをサンセリフ体といいます。
仏語でsanは「無い」という意味です。

ローマン体(セリフ体)

古代ローマの碑文に石で彫られたものの端っこにセリフ(飾り)がつけられていたところからセリフ体、ローマン体と呼ばれるようになった書体。

この碑文はその後のローマン体の発展に大きな影響を与えました。


そしてローマン体には大きく分けて4種類と碑文を元につくられたTrajan(トレイジャン)があります。

Trajan
(トレイジャン)

2世紀初頃のトラヤヌスの記念柱の碑文の字体をもとに1989年にデザインされた。

歴史があり格調高い
小文字がないので、主に見出しやロゴに使用されます。

ゴディバはセリフ(飾りの部分)を取ってロゴにしています。あと有名なのは映画「タイタニック」など多くの映画ポスターで使用されています。

ヴェネチアン・ローマン

15世紀頃のイタリアのヴェネチアで生まれた手書き文字を元に作られた。
日本で言うと、1467年に応仁の乱が起こっているので、室町時代〜戦国時代にあたります。

Adobe Jenson Pro
(アドビジェンソンプロ)
ニコラ・ジェンソンのローマン体を元にAdobe社が復刻したフォント。

Centaur
(セントール)

ニコラ・ジェンソンのローマン体を元にアメリカの有名なブックデザイナーが復刻したフォント。

ニコラ・ジェンソン・・・1420年頃生まれのフランス人。以前からあったブラック・レター体の活字を改良、制作。文字幅が狭く太く読みにくかったブラック・レター体に適切な余白を与えるなどし可読性がある活字にし広まった。

オールド・フェイス

ヴェネチアン・ローマンが生まれた20数年後に同じヴェネチアで作られました。
フランス、オランダ、イギリスへ広まっていきます。
ルネサンス期のフランスでは芸術や文学など文化活動が盛んに行われており、その影響を受けより洗練され優雅なものへと変化していきました。

Garamond
(ギャラモン)
伝統的な格式あるフォント。
平筆の名残がありぷっくりしている。
Caslon
(キャスロン)
無難になんにでもつかえるフォント。
古いフォントだけど古さを感じない。
アメリカの独立宣言書に使われたことが有名。

トランジショナル

オールド・ローマンからモダン・ローマンまでの間に作られたのフォントのこと。
イギリスで作られました。

Times New Roman
(タイムズ・ニュー・
ローマン)

イギリスのタイムズ紙が1932年に新聞用の書体として制作したフォント。
可読性にすぐれている。

モダン・フェイス

18世紀後半にトランジショナル・ローマンが現れたすぐ後に、イタリアとフランスで誕生しました。

Bodoni 
(ボドニ)

ジャン・バッティスタ・ボド二というイタリアの印刷職人により作られたフォント。

端が細くて近代的。
おしゃれで広告デザインによく使わている。

Didot
(ディド)

フランスのフェルミン・ディドによって作られたフォント

繊細で女性的な雰囲気。
有名ファッション誌でよく使われている。

サンセリフ体

グロテスク、ゴシックとも呼ばれる。

ローマン体だとポスターを作ったときにパッとしなかったためにサンセリフ体が作られたが、当時の人々にとっては新しいもの過ぎて、馴染まなかったためグロテスク体と呼ばれた。

ゴシックは一部地域ではブラックレターを指すためサンセリフ体と呼ぶのが一般的。

サンセリフ体も大きく分けて4種類あります。

グロテスク

初期のフォント。

Franklin Gothic
(フランクリン・ゴシック)
古風で粗削りなフォント。
まだ洗練されていない最初期のもの。

リアリスト

ネオ・グロテスク、トランジショナルともいわれる。
グロテスク体よりもスマートで視認性が高く洗練されたサンセリフ体。

Helvetica
(ヘルベチカ)
スイスで生まれた中立的なフォント。
とても使いやすく世界で最も有名なフォント。
デザインの場では困ったらヘルベチカを使っておけと言われるくらい汎用性が高いです。
Helvetica」というドキュメンタリー映画がある。
Univers
(ユニバース)
こちらもスイスで生まれたフォント。
エレガントで合理的なスタイル。
Arial
(エイリアル)

ヘルベチカに非常に似たフォント。
曲線が柔らかい。

Helveticaをパクったと映画の中で言われていることで嫌われているArialだが、それは誤解で元々あったフォントをヘルベチカと同じ幅に変更したために似たそうです。(うーん、絶妙ですね)

ヒューマニスト

旧来のローマン体の骨格を残しつつ、曲線が強調され温かみのあるデザインのサンセリフ体。

Gill Sans
(ギル・サン)

エリック・ギル (Eric Gill) が1926-30年にかけて制作。

古代ローマの碑文体などをモデルに作られた堂々とした骨格のフォント。

Myriad
(ミリアド)

多くの企業でコーポレートフォントに採用されたフォント。

初代iPadのロゴにも使用されるなど2002~2017年までapple社が使用していました。

ジオメトリック

直線や円弧など幾何学的な字形で形成されたクリエイティブなサンセリフ体。
ロゴによく使われる。

Futura
(フーツラ)

ラテン語で「未来」を意味する
1927年に発売されたサンセリフ。

ドイツの有名なバウハウスの講師によって作られた未来的で機械的なフォント。

アポロ11号で人類初の月旅行に持って行った記念の盾に使われました。


Pin on Paul Renner
Gotham
(ゴッサム)

「力強くて、新しくて新鮮な」がコンセプトのアメリカンなフォント。

オバマ大統領が選挙で使って以降とても使われるようになりました。

モダンで誠実、安心感があります。

その他

ローマン体、サンセリフ体が9割を占めて
残りは

  • 筆記体
  • デザイン書体

など。
キャッチコピーに使われます。

色は方向性でみていくことで進められるがタイポグラフィはフォント1つ1つをみていく必要があります。

始めはなんとなくジャンル分けして、そのフォントの背景を知り、馴染みがもてるようになると使いこなせていきます。

デザインの基本の「どんな印象を与えたいか、伝えたいか」を考えてことが大事です。

実際に使わている事例を参考に考えの幅を広げて選択肢を増やしていきたいと思います。

欧文書体を使うときに気をつけること

英語ネイティブではないので感覚として間違わないように注意したい点。

  • 英字のディセンダーラインやベースラインのルールを守る。
    なるべく英字フォントを使った方が間違いが起きない。フリーフォントだとたまにおかしいものがある。
  • 合字
  • 間抜け引用符をつかわない
    日本人の感覚からすると「ソ」と「ン」の区別がついてない感じになる。
  • 全角スペースをあけるのは古い習慣
  • !?ではなく、?!
  • %は文章中はper cent
  • スクリプト文字の大文字だけで文を組まない
  • ~は数学用語で1910-1924のように使う(ちなみにこの記号はダーシと呼ぶ。~を時間や日付で使うのは日本独自)
  • 時間の表記方法

お題

架空の商品
「サンオレンジえひめ」
「sun orange EHIME」

パッケージの商品名のフォントを
日本語フォントと英字フォントそれぞれひとつ選び、理由を記入しなさい。

本来なら依頼者の話をきいて
それを元にタイポグラフィを組んでいくが
今回は日本語と英字のバランスを考えながらフォントを選ぶことが課題です。

私のイメージ。これが正解というわけではなく参考程度に。

フォントを選ぶヒント

例えばドイツの伝統的な雑貨屋さんのフォントを選ぶとしたら
フランスやスイスでできたフォントよりも
ドイツの伝統的なフォントの「frakur」を優先して選択したくなります。

イタリアの近代的なレストランのフォントを選ぶとしたら
イタリア生まれの「bodoni」とドイツ生まれの「Futura」どちらがよいか?
地域を軸に考えるなら「bodomi」だが「近代的」さをとるなら「Futura」となる。囚われすぎるのも良くない。大事なのは相手にどんなことを伝えたいかだ。

感想

タイポグラフィ(主にフォント)のアウトプットに約5日間挌闘し、Adobeでたくさんたくさんフォントをアクティベートし、いろんなフォント会社のWebページをみて圧倒されてました。

奥深すぎて調べても調べても次から次へと疑問&気になるの数珠つなぎでブログが進みません。 2世紀の 碑文・石彫り時代から現代まで歴史がすごすぎる。

もういままでのように安直にデザイン書体やフリーフォントが使いにくい。
私はごちゃごちゃな多色配色とかが好きなのですがちょっとそれはデザインにおいてそぐわないんだなーとよくよくわかりました。

参考にしたもの

2021年1月にSUNABACO八代で受けた「タイポグラフィ」の授業の内容を元にアウトプットしたものです。

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文字に星は宿る「フォント」と「タイポグラフィー」” への3件のフィードバック

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